2022.10.31
山葡萄蔓の端材について考える
山葡萄の蔓は自然の素材のため、形や幅は均一とはいきません。
癖のないまっすぐで綺麗な蔓はどの編み方でもどこで使っても大丈夫ですが、
節の多いものや、うねうねと曲がりくねった蔓は、やたら編みや乱れ編みに使うことで個性を発揮します。
網代編みなどの整った編み方にはまっすぐで幅も均一なヒゴが必要ですが、そうなると大きな節のある山葡萄蔓は使えません。
その代わりに、やたら編みや乱れ編みには敢えて節の多い素材を使うことで、自然味のあるとても豊かな表情に作り上げることが出来ます。
また、かごを編むにはある程度の厚みが必要ですが、厚みの薄いものは縁編みに使うなど、
素材の性質を見て適材適所で使って行けば、殆ど捨てるところなく使うことが出来ます。
そして、かごを作っているとどうしても端材が出てきてしまいます。
ですが、端材と言ってもその長さや幅は様々。
僕はこれらを殆ど捨てません。
大きなかごバッグを作るには当然ある程度の長さの素材が必要ですが、
大きなバッグは作れない長さでも、小さいかごや財布には使えるもの、
もっと短いものは小物やアクセサリーになります。
たとえ5cmや10cmでも作れるものがあります。
昔の山々がどうたったか知りませんが、僕が山葡萄という工芸に出会ったときには既に山葡萄の蔓は大変貴重なものになっていました。
そのため、採取の際も少しでも無駄にしない様に、大変気を使います。
端材となっても山葡萄、端材と侮るなかれ。
折角自然から頂いた恵みもの、余すところなく使ってあげたいものです。